犬にも、痴呆の症状があらわれる可能性があります。獣医学が発達して寿命が延びた一方で、高齢犬が痴呆を発症してしまう問題が深刻になっています。
ここでは、犬の痴呆について、改善効果があるサプリの成分、作用機序について見ていきます。
犬の痴呆の症状
犬に特有の症状として「夜鳴き」があげられます。夜中に吠え続けて、飼い主が不眠になったり、周囲の家に騒音被害を与えて社会的なトラブルに発展してしまうこともあります。
夜鳴きを発症すると、周囲から苦情を受けたり、飼い主が疲れ果ててしまい、一緒に暮らすことが困難になることもある厄介な症状です。
意味もなく鳴き続けるので、止めてもやめないのが特徴です。
他には、飼い主がわからなくなる、自分の名前や習慣がわからなくなる「無反応」や「異常な食欲」などがあらわれることがあります。よく寝てよく食べ、下痢もしないのに痩せていくという不可解な状態になります。
円を描くように歩いたり、トボトボと全身する「トボトボ歩き」もあります。
「後退不能」という狭いところに入り込んでは自分で後退できずに鳴くという症状があらわれることもあります。
改善効果が期待できるサプリの成分
人間ではDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は血液サラサラ、脳機能の向上、認知症予防にいい成分と言われています。
DHAとEPAは、犬の痴呆に対しても改善効果が期待できます。
症状があらわれている犬を使った実験では、DHAとEPAのパウダーを与え続けた期間は症状が出にくくなり、投与を中断すると再び症状があらわれた、という結果が出ています。
どんなメカニズムで効くの?
DHAとEPAでは、特に認知症予防に効果があると言われているのはDHAのほうです。
DHAはひらめきの成分、EPAは(血液)サラサラの成分と言われることもあります。
DHAは脳内に一定量存在していて、主に海馬という記憶力や学習力を支配している組織に多く存在しています。まだはっきりとは解明されていませんが、海馬のDHA量がIQの高さや学習能力、認知症などに関係していると言われています。人間では、アルツハイマー型認知症の患者さんの海馬のDHA量が少ないという研究報告があります。
犬の痴呆の症状に対しても、脳内の海馬にDHAが働きかけて症状を改善してくれることが期待できます。DHAとEPAの両方が入ったサプリは相乗効果があるので、まとめて入っていることが多いです。